読書メモ

松陰は晩年、
「思想を維持する精神は、狂気でなければならない」
と、ついに思想の本質を悟るにいたった。思想という虚構は、正気のままでは単なる幻想であり、大うそにしかすぎないが、それを狂気によって維持するとき、はじめて世をうごかす実体になりうるということを、松陰は知ったらしい。

   「世に棲む日日」(司馬遼太郎